こんにちは!カナです。
今日は青年海外協力隊で参加した事前研修について紹介したいと思います。
最初にお伝えしますが、
事実をありのままに伝えるというよりはホリスティックにみた否定的意見になります。
青年海外協力隊の事前研修
青年海外協力隊に受かると、
派遣される前に約70日の事前研修といわれる共同生活をしつつ、
過ごす期間の時間割は80%が派遣先の語学で、そのほかJICAの規則を学ぶ場が与えられます。
よく、生活が刑務所みたいだと揶揄されます。
個人的には生活は別にそこまで厳しいものでもないと思います。
というのも、私は税務署職員として国家公務員の長期住み込み研修をした経験があり、
それに比べるとそこまで大変だとは思いませんでした。
一人部屋だし、門限がある程度で
平日の業務時間外に時間の使い方を拘束される訳でもない。
比較的自由です。
私が否定的な意見を持つのは、違う点です。それをこれから話します。
無意識の思い込み
「THE POWER OF KNOWING」という
アメリカの会計士むけの雑誌の中にある記事を読みました。
海外は組織を強くするために、
いろんな場面でDiversity & Inclusion(多様性)と向き合っています。
私はヨーロッパに留学経験があります。
ヨーロッパは歴史上の人の移動が活発であったり、
大陸つなぎなこともあったりで、
昔から多様性と共存していたので、
EU内での多様性は比較的向き合えている印象をうけます。
アメリカは大陸的に大きいので、
ある意味孤立していていますが、
経済的には急激に様々な国に参入しているので、
ここ数十年間いかに多様性を受け入れるかを
つねに模索しているように感じます。
このテーマは常に組織とてして
向き合わなくてはいけないテーマであり、
継続的にこのような記事があがります。
必死に向き合ってるからこそ記事になるのです。
これは青年海外協力隊とどう関係があるのか?と
思われる方もいるかもしれません。
大いにあります。
なぜならば、協力隊になった人は、
これから日本という国をでて
様々な自分たちとは違う価値観のなかに
お邪魔するからです。
協力隊の事前研修は失敗作
では、冒頭の私が協力隊の事前研修を否定的に捉えているかを説明します。
まず、いくつかステートメントを紹介します。
- 世の中は男性が女性を好きで、女性は男性を好きである。
- 毎日3食、お肉、野菜、バランス良く食べることがよい。
- 外見で人を判断する。態度は別に関係ない。
読まれている方が上記のステートメントにどう感じるかわからないですが、
少なくとも研修所は明言せずとも、これらの点が前提に研修が進められます。
「明言しない」というのが先ほどの「無意識の思い込み」につながるわけです。
これから一つ一つ説明します。
ステートメント1
1の「世の中は男性が女性を好きで、女性は男性を好きである」というステートメントを
なぜ感じさせるかというと、事前研修所では基本的には大浴場しかないのです。
一人でシャワーを浴びるという選択肢が基本的にはない。
一応体育館のとなりにシャワーあるけど
研修があったときはお湯が出なく、
修理も1,2週間掛かるという始末・・・。
重要性を感じていないことの表れです。
もし、このステートメントとは合致しない人がいたとしたらどう感じるでしょうか。
LGBTは日本では最近聞き始めたワードかもしれませんが、
これから行く国では日本ではもっと昔から向き合ってきたテーマの可能性があります。
世界的には性別を聞くこと、
性別でわけること自体が時代錯誤になりつつあります。
ステートメント2
次に、「毎日3食、お肉、野菜、バランス良く食べることがよい。」というステートメント。
研修前の紹介冊子の中に書いてありますが、
「研修は食事が提供されますが、個人の信念や趣味嗜好に合わせることが出来ません」
と書いています。
「世界青年の船」という内閣府が主催する事業に参加したことを例にとります。
詳しくはこちら。
そのときは、約11カ国の人たちと共同生活をしました。
11カ国の人達の中にはイスラム教であったり、
ビーガン、ペスカトリアン、という信念が当たり前に存在します。
地球の縮図のような環境でした。
「世界青年の船」ではそういったことを考慮して、
適切な処理をしたお肉を提供して宗教に対応したり、
食事を選択式にしたりでビーガン対応していました。
初めてそういうのに触れた日本人は
この経験をきっかけに興味や理解が深まった
という方も多くいました。
改めて、青年海外協力隊の研修所がいかにせまい概念で
進められているかわかります。
「個人の信念や趣味嗜好」は、
海外では大切なことであり、
ときに人権にまで発展することもあります。
なぜ日本人には宗教により食事に制限がある人がいない
という前提なのでしょうか。
別に研修生の望みを自由に与えるべきだ
という主張をしているわけではなく、
あくまで、
日本人的価値観を強化するのではなく、
研修は視野を事前に広げる手助けをすべき場ではないか
という観点で申し上げています。
ステートメント3
最後に、「外見で人を判断する。態度は別に関係ない」というステートメント。
事前研修では派手な格好をするなと言われています。
周りを不快にさせる格好は当然良いことではありませんが、
態度よりも外見を重視してるのが日本らしいというエピソードがありました。
ここでも「世界青年の船事業」を比較にあげます。
一緒に乗っていた海外の国のリーダー達が
「日本人の講義中に寝るのは非常識だ」と
議論にあげたことがあります。
この視点は、
欧米では比較的に周知の価値観であり、
発表者の目の前で寝るくらいなら一時的に席を外したり、
立ちながら聞いた方が適切である
とのことです。
日本では非常識ですが、
こういう視点もあるというということで例に出します。
外資系勤務の経験も紹介します。
外資系では、
タトゥー、派手な髪色、服装は
別に何もとがめられないです。
むしろ仕事のアウトプットをいかに出すかの方がみられます。
派手でも仕事ができるひと、地味なのに仕事の態度/成果が悪い人。
どちらが評価されるというと、
会社に貢献している前者です。
多くの海外では
外見よりも仕事への取り組む態度がみられます。
研修所に話を戻します。
研修所では、研修中に外部講師が来て寝てても注意されません。(とっても失礼)
しかし、身だしなみについては注意されます。
身だしなみも重要です。そこは否定しません。
一例にすぎませんが、
「寝ることは注意されない」という日本的価値観。
つまり、態度よりも外見がチェックされるという意識で派遣されれば、
文化の違いから態度で信用されなくなるでしょう。
日本人的視点だけで注意するのではなく、
海外の視点も踏まえて運営すべきです。
最後に
協力隊の事前研修では、文化研修が無いに等しいです。
確かにいろいろな地域にいくので、
一つの価値観を伝えることは出来ませんが、
様々な価値観があるということ、
そういった海外の価値観を知る場面、
日本の価値観が崩されることが待ち受けているということを教える場面が
一つもないのです。
組織として、多様性と向き合っていないのです。
向き合う必要性さえにも気づいていないというのが本質でしょう。
私の議論のポイントは
「これから海外にいく人たちに
なぜ様々な視点を伝えず
日本的価値観をすり込む方式で
研修を進めるのか」
です。
そういう点でこの研修は本当に失敗の極みです。
「海外に派遣される人を対象にした研修ではない」
というわけであれば別に良いと思いますが、
海外に派遣されることが決まっている人が対象の研修です。
詰まるところ、
私は「長期事前研修は自体もうやらなくていい」
と思います。
結局、語学もオンラインで進めることが可能ですし、
短期集中1週間程度でいいのでは?と。
この研修はある意味、税金の無駄遣いとさえ思います。
もちろん運営する人々のポジションや雇用を維持、
地域に人を一定期間住まわせて地域活性化させる、
同期同士のつながりを創出させるためという
他の意図はあるのでしょうけど・・・
「海外派遣」という視点では運営組織が無意識の思い込みだらけなので、
改善されない限り無意味な研修でしょう。
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